あさりのスパゲッティほど広く知られているイタリア料理はないのではないでしょうか。日本でよく知られているのはヴォンゴレ・ビアンコと呼ばれているガーリックオイルベースのトマトが入らないものでトマトソースを加えたものはロッソと呼ばれているようです。ではナポリではどのように作るのかといいますと基本はヴォンゴレ・ビアンコとよく似ていますが異なる点はチェリートマトを数個加えるということでしょうか?そうすることで見た目はほんのりピンク色になってトマトの風味も加わりますがトマトソースではないので、あさり本来の味も十分生きた仕上がりとなるのです。
このナポリ風の作り方はとても美味しいだけではなく様々なメリットがあると思います。まずほんの少しのトマトが入ることであさりの塩分を和らげてくれます。貝類はその時々で塩分が強いことがあり調理には注意が必要なのですが、そんな時トマトはバランスをとってくれる大きな味方になるばかりかソースの乳化もしやすくなります。トマトなしの場合はガーリックオイルとあさりの出し汁だけでパスタを和えなくてはなりませんので美味しく作るにはソースを乳化させる技術が必要となります。水分を全部吸わせてしまうとパスタに旨味はしみ込みますがパサついた仕上がりになってしまいます。しかしトマトが入ることでトマトの酸とオイルで乳化がし易くなり仕上がりが良くなるのです。
乳化といえば今から20年以上も前に私がナポリで働いていた時に職場の先輩が面白い話しをしてくれたことを思い出しました。それは「美味しいヴォンゴレを作るにはどうしたらいいか知っているか?」というものでした。何でも有名なレストランのシェフに聞いた㊙情報だということでかなり期待をしたのですが、その答えはたわいもないもので何と少量の小麦粉を加えるというものでした。確かにソースに濃度がついてパスタを絡めやすくなるという意味は分かるのですがさすがに小麦粉はないでしょう?と言いたくなりました!でも料理の勉強のためにとせっかく教えてくれたことですのでその時は驚いた顔をしたことを覚えています。本当に驚いたのは事実でしたが。
あさりのスパゲッティ材料
あさり
にんにく
チェリートマト
イタリアンパセリ
オリーブオイル
塩
唐辛子(お好みで)
スパゲッティ