渡辺 陽一 ナポリ料理ブログ

郷土料理を愛してやまないイタリア料理人https://www.instagram.com/watanabe_yoichi_/

ピッツァ(Pizza napoletana)

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ピッツァ マルゲリータ

イタリア料理の中でも少しジャンルが異なるものとして位置付けられるのがピッツァです。カジュアルで場所や時間を選ばない食べ物でありそれだけで完結する食事でもあります。

通常イタリアでは高級レストラン(Ristorante)、庶民的なトラットリア(Trattoria)を問わずメニューにピッツァはありませんし逆にピッツェリアに行ってもパスタやメインディッシュなどのお料理はありません。ただナポリだけはちょっと特殊で高級なレストランでもピッツァを出しているところがあります。リストランテ ピッツェリア(Ristorante Pizzeria)という業態がこれにあたります。この業態ではピッツァだけを食べるもよし、またレストランで食事をする時にピッツァを取るのもよしと、とても使い勝手がよいと思います。

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きのこと生ハムのビスマルク

このピッツァを日本料理に例えるとその形状からお好み焼きの様だと言う人もいることでしょうが私はラーメンやお蕎麦、うどんに近い感覚ではないかと思います。その理由ですがこれらの麺類はどの時間帯でも食べられて普通一人一品を食べることや、それだけで食事が完結することがあげられます。また複数人で食べに行ってもあまり他人とシェアーなどしませんよね。各々好きなものを頼んで最後まで一人で食べませんか?これって正にピッツァと同じ食べ方なのです。いい和食屋さんでは通常お蕎麦はメニューにないですが稀に蕎麦を打てる職人さんがいて〆に出してくれるところがありますよね。そんなところもピッツァに似ていると思うのです。あとナポリのピッツェリアにはコーヒーがないことが普通ですがラーメン屋さんにも同じことが言えるのではないでしょうか?

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そんなピッツァの発祥の地はもちろんナポリです!庶民の生み出した素晴らしいローカルフード、ストリートフードと言っても過言ではありません。現に今でもナポリに行けばピッツェリアの店頭で焼きっぱなしの小ぶりなピッツァが一枚1~2ユーロで販売されています。もちろんモッツァレラは一切れしか乗っていませんがおやつとしてはこれで十分ですね。

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この小ぶりなピッツァですが一般的にイタリアでは朝ご飯を食べない人が多いのでお昼前になると小腹が空いてきてこれを目当てにやって来ます。(ナポリでの昼食は割と遅く14時ごろなのです。)お腹が空いた時にいつでも気軽に立ち寄ってパッと食べられる便利な文化ですね。ちなみにこの小ぶりなピッツァですがテイクアウトボックスには入れてくれません。それでは立ち食いしにくいですし値段も高くなってしまいますからね。ピッツァは折りたたんでわら半紙にくるんで渡してくれるのです。このテイクアウトのスタイルをピッツァ ア ポルタフォーリオ=お財布の意味 (Pizza a portafoglio o Pizza a libretto) なんて呼びます。

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もっと沢山ピッツァのお話をしたいところですがキリがありませんのでこの辺で終わりにしますが、ご興味のある方はパルテノペに来ていただいた際に私が書いた単行本がありますので一度ご覧になってみて下さい。ピッツァの歴史からその製法、食べ方やマナー、本物のナポリピッツァとは、真のナポリピッツァ協会などが詳しく書いてあります。

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そんなピッツァは世界中で食べられているイタリア料理界の代表選手だと私は思っています。

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真のナポリピッツァ協会認定看板 Buganville広尾

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真のナポリピッツァ協会認定看板 Partenope