伊勢海老のしっぽなんて聞きなれない名前のお菓子かも知れませんがナポリではとてもメジャーなものでスフォリアテッラ(Sfogliatella)という貝殻の様な形をしたお菓子の派生ともいえるお菓子です。このお菓子を一言で説明しますとナポリ式のパイシューです。とは言っても日本の一般的なパイシューとはかなり違いますので不思議に思われるかも知れませんね。近年ではこのお菓子を作るための生地(タッピと呼ばれています)がイタリアから日本に輸入されるようになりましたのでこのお菓子を巷のイタリア料理店で目にする機会があるかも知れません。
それでは生地の作り方をお話ししましょう。フレンチパイ(pâte feuilletée)が小麦粉の生地でバターを包んで折りたたむのに対してこれは小麦粉の生地を細長く成形して薄く伸ばしたところにラードを塗ってクルクルと巻くという作り方をします。それはまるで年輪のようで面白い形状をしています。その丸太の様な棒状のものが出来たら今度は両端を持って引っ張ります。そうすることで長く伸びた丸太の直径が小さくなっていき生地一枚一枚が薄くなる仕組みなのです。そしてその後一度冷蔵庫でしめてから1.5cm幅ぐらいにスライスしていけば仕上がりです。
出来上がった生地をこのお菓子用に成形する時には生地を両手の中でコマの様に伸ばしていき最後にシュー生地を中央部に詰めてオーブンで焼くのですが、その焼き上がりがまるで伊勢海老のしっぽの様な形になることからこの名前が付けられました。
周りのパイ生地はパリパリしていて中のシュー生地によって膨らんだ生地の中にはラム酒風味のクリーム(カスタードクリーム入りホイップクリーム)がたっぷり入っていて一度食べたらきっと誰でもファンになるのではないかと思えるほど魅力的ですよ。このお菓子ですがラム酒風味のクリーム以外のバリエーションとしてチョコレートクリームやレモンクリームのものもあります。
伊勢海老のしっぽ材料
ナポリパイ生地(タッピ)
シュー生地
カスタードクリーム
生クリーム
ラム酒
アマレーナチェリーのシロップ漬け