このお菓子はナポリ菓子の代表選手としてどこのお菓子屋さんにも必ずと言ってよいほどショーケースに並んでいます。ナポリではズッペッタと呼ばれておりシロップに浸したという意味なのですが何故かナポリ以外の地方ではそう呼びません。一般的にはディプロマティカ(Torta diplomatica)と呼ばれるケーキで使われるリキュールもその地方によって、また作る人によって異なりますが、ナポリではストレーガリキュール(Liquore Strega)=魔女のリキュールというベネヴェント(Benevento)地方の黄色いリキュールが必ず使われます。またクリームもナポリではカスタードクリームのみを使うのが伝統的なやり方ですがその他の地方ではカスタードクリームに生クリームを混ぜたり、チョコレートクリームやリコッタチーズクリームなどを使う人もいます。シロップにはアルケルメス(Alchermes)、アマレット(Amaretto)、リモンチェッロ(Limoncello)、ラム酒(Rhum)なども使われるようです。
私は初めてナポリでこのケーキを見た時、何と簡単で手間のかかっていないものだなと過小評価していたのですが食べてみると今まで味わったことのない感動を覚えました。上下にサクッとしたパイ生地があり中にはリキュールを効かせたしっとりしたスポンジ生地が挟んであるだけなのですがその食感が面白くまたこのリキュールがナポリっぽいんですね。ちなみにナポリ式はパイ生地を上下2枚でスポンジ生地を挟みますが他の地方では3枚(その場合スポンジ生地が2層)使うこともあります。
材料は見て分かる通りシンプルでパイ生地、スポンジ生地、カスタードクリーム、ストレーガリキュール入りシロップ、アマレーナチェリーのシロップ漬けです。
普通このようなケーキですとスポンジ生地やパイ生地を細かくしたもの(ケーキクラム)で周りを覆ったりすると思うのですがナポリ式は何もしません。ただ端を切り落としておしまいです!もっともズッペッタはそもそも一人前にカットして販売しますので切りっぱなしのままでいいんですけどね。
しかし本当に素朴で素敵なケーキですよ。パッと見あまり華のないお菓子かも知れませんが、ナポリ好きな人には絶対にお薦めできる一品です。
ズッペッタ材料
スポンジ生地
パイ生地
カスタードクリーム
ストレーガリキュール入りシロップ
ァマレーナチェリーのシロップ漬け
粉糖(飾り用)