渡辺 陽一 ナポリ料理ブログ

郷土料理を愛してやまないイタリア料理人https://www.instagram.com/watanabe_yoichi_/

ムール貝のリングイーネ(Linguine alle cozze)

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ムール貝のリングイーネ

このパスタはあさりのスパゲッティの兄弟分ともいえるほど同じ作り方をする料理です。日本ではその昔ムール貝を誰も食べなかった様でイガイとかムラサキガイと呼ばれていましたが洋食が流行るにつれて段々とメジャーになってきました。イタリア料理はもちろんのことスペイン料理でもよく使われておりお好きな方は多いのではないでしょうか。

ナポリ料理では代表的なものとしてムール貝の黒コショウ蒸し(Impepata di cozze)や香草パン粉を乗せたオーブン焼き(Cozze gratinate)などがありますがプーリア地方の郷土料理でジャガイモ、ズッキーニと共にオーブンで焼くティエッラ(Tiella barese)という料理もムール貝の出し汁がいい仕事をしていてとても美味しいです。

このパスタですがにんにくを炒めたフライパンにムール貝とチェリートマト、イタリアンパセリを加えて蒸し焼きにします。ちなみにここで白ワインを入れる人もいますが私は入れません。ワインの風味は嫌いではありませんがなるべく貝本来の味を楽しみたいと思っています。貝の口が開いたら一度外に取り出して残った出し汁を煮詰めます。あさりと違ってムール貝はたくさんの海水を蓄えていますので結構な量の水分が出るからです。ただあさりと違って砂を取り込むことはありませんのでその心配はいりません。

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あさりとの違いはムール貝にはヒゲ(足糸)がありますのでそれを除去しなくてはならないことですが、生きている時は口を固く閉じていて簡単に取れませんので加熱して口が開いてから取っても大丈夫です。加熱前のムール貝のヒゲは指でつまんで殻に沿って引っ張ればスッと抜き取れそうですがこれが簡単ではありません(笑)。 大抵の場合、殻の外に出ている部分だけがちぎれてしまうのです。このヒゲはムール貝が海流に流されないように防波堤や岩礁に付着するためについているものなので貝から簡単には抜けないようになっているのです。ではどのように取ればいいのかといいますと実は確実にヒゲが取れる方法があるのです。それはムール貝の貝殻の合せ目を手の中でほんの少しずらして隙間を作ってヒゲを抜き取るというものです。スムーズに取れない時はヒゲを上下にずらして引っ張るといいですよ。この方法ですとほぼ間違いなく貝の根本からヒゲを抜くことが出来ます。

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ムール貝のリングイーネ材料

ムール貝

にんにく

チェリートマト

イタリアンパセリ

オリーブオイル

唐辛子(お好みで)

スパゲッティ